保育士の姉

僕の姉は、保育士としての資格を持っている。専門学校に二年も通い、無事卒業し、資格を取得した。保育士だけでなく、整体の資格も持っているのが自慢である。しかし、それが活用されたのは、専門学校に在学中の僅か二年だけである。卒業後は何をしていたのかというと、資金繰りの為に派遣アルバイトを行なっていたそうだ。専門学校に通うだけの莫大な資金を、両親へ返す為に。そして今はその派遣アルバイトが身を結び、正社員として働いている。その間に結婚もし、ますます保育士という資格を発揮するチャンスがないのである。いわば宝の持ち腐れ。興味があり、得た資格のハズが、この様だ。趣味にしては重く、仕事としてしか活かせないこの資格は、姉からしたら手に余るものだったらしい。義理の兄、姉の夫に意見を求めたのだが「子育てに役立てば、それでいいじゃないか」そういうものなのだろうか。ここまで仕事を選ぶ資格だからこそ、わざわざ専門学校に通っていたというのに、なんだかもったいない一例である。派遣のアルバイトからの正社員など、高卒以上であればなれるだろうに。なんとも不思議だ。本人はというと母に「保育園などに就職すればよかったのに……」とツッコミが入るまで、自分が保育士の資格を持っていることなど、忘れていたというのだ。そのツッコミも時すでに遅く、正社員になりたてで誘いを快諾した手前、やっぱりやめますなどと言えず、そのまま正社員を続けている。姉の保育士姿を、見ることはあるのだろうか?資格が埃をかぶっていくようで、なんとも切ない話である。